知っておきたい肝臓数値のチェックポイント

動物病院での健康診断で、血液検査の結果、獣医師から「肝臓の数値が高い」と言われたことがある方もいらっしゃるでしょう。今回はその原因や対策について詳しく解説します。

肝臓の数値とは?

血液検査で測定される肝臓の数値は、主にALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)という酵素の値です。ALTは肝臓の細胞に存在し、細胞が壊れると血液中に放出されます。しかし、ALTの数値が高いことが直ちに肝臓病を意味するわけではありません。以下の三つのポイントについて説明します。

1. ALTの数値が高くなる原因

ALTの数値が高くなる原因は肝臓病だけではありません。例えば、消化器系の疾患や心臓病、副腎、甲状腺の病気などでも数値が上昇することがあります。そのため、肝臓以外の病気の有無を確認するために追加の検査が必要です。例えば、超音波検査やホルモンの値を調べる血液検査が行われます。これにより、他の病気が発見されることもあります。

2. 症状が出ない場合

ALTの数値が高くても症状が現れないことがあります。ALTは肝臓の細胞が壊れると上昇しますが、肝機能自体を示すわけではありません。そのため、数値が非常に高くても無症状のケースが存在します。症状が現れる場合、元気がなくなったり食欲が減少したりすることがありますが、これらの症状が出ると肝硬変のような進行した病気である可能性があります。

3. 数値が上がらない場合

肝臓が悪化していてもALTの数値があまり上がらない場合があります。例えば、慢性肝炎がゆっくり進行しているときには、肝臓の細胞が再生しようとして結節を作り、これが肝硬変になります。この段階では正常な肝臓の細胞が少なくなるため、ALTの数値が上昇しないことがあります。

診断と対策

肝臓の病気を確定するためには、肝臓の組織を取る必要があります。以前はお腹を開ける手術が必要でしたが、現在では腹腔鏡を用いた検査が一般的です。小さな傷で済み、実際の肝臓の状態をモニターで確認できる利点があります。

健康診断でALTの数値が高いとわかった場合、肝臓以外の病気を除外し、超音波検査で肝臓に異常がないか確認しましょう。また、数ヶ月後に再検査を行い、数値が高いままの場合は、慢性肝炎の疑いがあるため、確定診断を行うことが重要です。

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